2日目【2017.11.17】 晴れ 5:30~17:30

 □大雪山~

 

 翌朝、目覚ましの鳴る10分前に目が覚めた。機内モードにしている携帯は位置情報がおかしいのか、現地時間を示さない。寝ぼけた頭で「えーと、1時間の時差だから」と計算していたら、隣のベッドでアラームが鳴った。布団から出るとさすがに寒い。室内唯一の暖房器具の電気敷毛布のおかげで寝ている間は暖かかった。お湯を沸かして持参のカップスープを作る。ビスケットも数枚腹に入れておく。帽子と手袋を身に着けて、準備OK。

 

 まだ暗い中、ロッジ前に集合して、次第に明けてくる園路を歩き出す。昨夜とは違い施設の端へ向かう。小さなロッジの並ぶあたりに差し掛かった時、まだ陰になった石段にルリチョウが降りていた。尾羽を扇のように広げて立てている。大きい。ツグミ型のオオルリというところか。全身が深い青…紺青色だ。皆が見守る中、地面をつつきながら一段づつ階段を上って行ってしまった。

  ロッジの間を抜けた先の木立の所で、カラ類が出入りをしていた。動きが速くて、じっくり観ることは難しいが、たくさんいるのはわかった。朝のバードウェーブに包まれて、幸せな気分に浸る。シマリスが枝から枝へ走り回っている。やけに大きく見える。タイワンリスもいるそうだ。

 

 登山道のような急な階段を上り、林道に出る。高山だが、背の高い照葉樹林で、タケやヤシも点在している。ジャングルの一歩手前だなあと見上げていると、2度目のバードウェーブが来た。キバラシジュウカラ、ゴジュウカラそしてズアカエナガ。エナガはやっぱりかわいい。夢中で見ていると、樹高が高いので、首が半端なく痛くなった。よく歩いたねえ、お腹が空いたねえという声がしたところで、食堂に直行。朝食は完全にバイキング方式だ。本格お粥があるのが嬉しい。おかずというか、お粥のトッピングも含めて10数種類も並んでいる。湯気の上がる引き出し式の蒸し器には麺皰(パン)が。あれもこれもと欲張っていたら、先にテーブルについていた皆さんが「アリランヒタキが窓のすぐそこに」と。ええー、油断大敵。食欲は敵。違うタイミングでルリチョウも現れたという。

 いったん部屋に戻り、荷物をバスに積んで、移動の前に3階建てのビジターセンターを訪ねる。1階の売店には鳥のグッズが。どうしようどうしようと迷いながらバンダナやブローチを購入した方も。絵葉書のカオジロムササビはちょっと目つきが悪く、自分たちが撮った写真の方が絶対可愛いよねと。いいあっている。土産物屋で旅行気分が盛り上がり、今日、これから台湾固有種をいくつみられるか、わくわくしてくる。

 

 バスに乗り込む前に、外階段で3階の展望台へ。昨日に引き続き、今日も快晴ではるか遠くに雲の上に台湾最高峰の玉山が見えた。この辺りでは朝霧が出るので、滅多にないことだと五百澤氏の談。メンバーの中で「もってる」人、晴れ女(男)は誰だろう。誰であろうと、謝謝。

 

 バスに乗り込み、山を下る。

 初めのポイントはゲート近くの広場前。大きくカーブした車道から林をのぞき込む。薄暗い林床で動く影が。今度こそキョンだ。小さい。下ばえの中をのんびりと移動していく。頭上の木の間では小鳥類がちらちらしていた。

 

 さらにバスで次の林道脇のポイントに移動。ミカドキジのポイントだ。道の両側はうっそうとした木立。運が良ければ、木立の中から林道に出てきたのを車窓からも確認できるという。バスがゆっくりと下るが姿無し。バスを降りて30分ほど林道を戻る形で歩いてみるが出会えず。まあ、山形でもヤマドリに会えるのはほんとに偶然としか言いようがないわけで。会えないからこそ「探す」のが探鳥。 

 次のポイントはサンケイ。これもキジの仲間で、写真で見る限り、ド派手な色をしている。道路わきの駐車スペースにはカメラマンが大砲をセットしてスタンバイしていた。ジェニファーさんが挨拶している。どこからともなく小さなビニール袋が出てきた。カメラマンがおもむろに駐車場の囲いの柵に近づくと袋の中身を柵の向こうにばらまいた。ぱららっという音を立てて穀類が地面に落ちる。と、次の瞬間「来た!」と押し殺した声が上がる。斜面の下の木立の陰から、ひょこひょこと大きな鳥の影が。3羽。雄1雌2のサンケイである。ミカドキジに振られたばかりだったので、にわかには信じられない気分だった。気を取り直して、間近まで来て餌をついばむ様子を観察。手を伸ばせば届きそうで、なにしろ元が大きな鳥なので、望遠を持った面々からは「フレームアウトだ」との声が。コンデジでばっちり。スマホでもいける距離。雄の長い白い尾羽もきれいだけど、雌の何とも言えない赤みがかった地味羽根がきれいで見とれた。

 

 

 それにしても餌をまいて鳥を呼び、姿を愛でる台湾流「賞鳥」。お国柄の違いというか。

 

 再びバスで山を下り始めたが、急に停車。ドライバーさんが猛禽を見つけたと。双眼鏡をひっつかんでバスを降りる。真っ青に晴れ渡った空をカザノワシがゆっくりと通過していった。

ドライバーさんも鳥を見ながら運転する、賞鳥旅游。

□竹山~杉林渓

 

 次第に暑くなってきた。昼食は斜面に張り出した板張りのオープンカフェ風の、展望食堂に案内してもらった。空が近いので、みんな鳥が気になってそわそわしながらの食事。向かい側の建物にリュウキュウツバメが巣をかけているのか、盛んに出入りしているのも気になるし、ハヤブサは飛ぶわ、カザノワシも飛ぶわで落ちつかない。またしてもテーブルいっぱいの台湾料理だったが、一番美味しかったのは蒸しパンに角煮を挟んで食べるもの。あとは巻きひげのある緑色の山菜の炒め煮。きしめん真っ青の太い平打ち麺が丼一杯に盛られたものや、カセットコンロの火が風で消えてなかなか煮えないナマズっぽい蒸し魚。もう満腹というところにさらにどーんとでてきた鍋料理。薄味で脂っこくないのでいくらでも食べてしまえるから怖い。

 

 昨日バスの中でこの辺りは「果物の産地」と聞いていたため、是非、町の果物屋をのぞいてみたいとリクエストがあり、狭い道路で無理やりバスを止めてもらって、小さな果物屋を見学。リンゴくらいのメロンやオレンジと並んでフジリンゴやフユウカキ、二十世紀ナシという懐かしい顔ぶれが。日本から技術輸入したものが根付いているんだそうだ。ミカンも温州らしい。まさにラグビーボールサイズのスイカやパイナップル、マンゴーも。見たことのない蓮霧(レンブ)という濃いピンク色の果物を購入した人もいた。 

  一路竹山の街を目指す。ジェニファーさんはここの出身だそうで、街中の寺院でタイワンオオコノハズクの塒が見られるからと極彩色に金箔がまぶしいばかりの寺院、克明宮で下車。寺院の裏の木立あたりと想像しつつ、極彩色の山門を潜る。本殿は更に色とりどり。屋根には龍や賢人や鳳凰がぎっしり。屋根のカーブの先端でクロヒヨドリがさえずり、シロガシラやカノコバトが龍のひげの先に停まっている。ハクセイキレイも飛び回っている。皆が夢中で見ていると、ジェニファーさんが「こっち、こっち」とお堂の中で手招きをしている。まずはお参りしてからですかねとカメラや双眼鏡を下して階段を上った。ところが皆そこで立ち止まってしまい、お堂の中へは入らずに入口のひさしの部分を見上げて指差している。その先には、総金箔の総彫刻の施された天井に、じいっとたたずむ楕円形の影。双眼鏡を使わなくとも、目が合ってしまった。こんなところに!

 

 あとで堂内でお参りをしていたら、壁にコノハズクの写真が飾ってあった。普段はお堂の中にいるらしい。2羽、3羽と肩を寄せ合っている写真を見ていると、お坊さんたちの鳥を愛でる視線が感じられてきた。

 

 

 それにしても暑い。湿度も高い。台中からはまた一段と南に下っているのだから仕方ない。道路脇にポインセチアやブーゲンビリアが生垣になって花をつけている。ハイビスカスも咲いている。

 

 今夜の宿は「杉淋渓」。いかにも鳥のいそうな地名だ。竹山からほぼ真東に位置する山の中。 

今日はまだ暮れる前に宿に到着。ここもゲートで料金を払って入場。

「杉林渓森林生態渡假園区」ということでここは民営の休暇村のようなものらしい。 リゾート色が濃い。杉の木をモデルにしたゆるキャラが至る所に配置されている。子供の背丈くらいあるごみ箱も緑とピンクの杉の木キャラで、2つの目玉がごみの投入口になっていて、目からごみがあふれているところもあった。 ホテルも別館や本館など相当に広いようで、エレベータで5階へ行くのに列が出来てしまった。

 

 明日の夜も夜探をするので今日はおとなしく夕飯を食べるだけにしましょうとの案内。カオジロムササビもいるそうだが、遠いのだそうだ。確かに周りの林はうっそうとした杉木立。それも相当に背が高い。

 

 夕食の集合は18時20分。小一時間あったので風呂に入ってしまう。

 

 夕食は完全にバイキング方式。品数が多すぎて、迷ってしまう。ここではビールを別料金で頼めるとのこと。やっと冷たいビールにありつけた。予約席ということで、個室に通されたので、円卓二つに分かれ、ゆったりとくつろげた。二日間持ち歩いたわよと、1日目にコンビニで買ったビールを開ける方、私の紹興酒もやっとおいしい台湾料理で飲むことができた。

 

 食事をしたのが個室だったので、その場で2日分の鳥合わせをした。

 

 はち切れそうなおなかを抱えて、ホテルの周りを散策。というか、飛ぶものはなんでも好きというメンバーさんたちが、渡り廊下に集まる蛾に釣られてうろうろ始めたので一緒に歩くことに。 

 ホテルの外は真っ暗でかなり湿気が多い。朝探は6時集合とのことで、早めに寝ることにする。