2日目【2018.3.31】 晴れ 8:40~23:00

 

【夜明け】 

 2日目の朝、遅く寝たのに、夜明け前に目が覚めた。ヤンバルクイナの声がした。同室者の目を覚まさないように、ベランダに出る。眼下に広がるやんばるの森が月の光に照らされている。西の空に月がかかっている。間もなく東の空が明るんできて、月が真っ赤に染まった。鳥たちが起き出した。同室の方が起きた気配がしたので声をかけた。彼女もカメラを持ち出してきて、沈みゆく赤い月を撮った。

 

 前夜遅かったので、早朝探鳥は予定されていなかったが、明るくなってきたので外に出たら、敷地のあちこちに人影が見えた。各々、ぶらぶらしているうちに次第に合流して朝ごはんまでの時間いっぱい、鳥見をした。宿舎の外トイレにリュウキュウツバメが巣をかけていたり、イソヒヨドリが宿舎の看板にとまっていたり。

 

 今日は、昼間、地面にいるヤンバルクイナを探して、いくつかのポイントを回ることになった。あわせてアカヒゲポイントもリベンジ。 

・やんばる学びの森のイソヒヨドリ

・やんばる学びの森のリュウキュウツバメ

・やんばる学びの森のヤギ

【ヤンバルクイナを探して】

 ヤンバルクイナは林道にも出るが、意外に人里近くにもポイントが多いという。 

真木さんは、我が庭のようにやんばるの森を車で走り回り、この場所ではこんな風にヤンバルクイナに出会ったんだとか、ここではこういう出会いがあったと、教えてくれる。

 

 更なるアカヒゲのポイントも回った。ノグチゲラの営巣木も見せてもらった。オクラレルカの畑にも案内してもらった。

 

・やんばるの森のヤマガラ(亜種アマミヤマガラ)

・やんばるのノグチゲラのドラミング

ヤンバルクイナの思い出】

 ポイントのひとつの安田という集落の駐在所脇の草地は、真木さんが初めてヤンバルクイナを撮影した思い出の場所でもある。

 

 37年前、ヤンバルクイナが「発見」されたと新聞の一面を飾っていたのを、今でも鮮やかに思い出す。新種の鳥、という言葉が、魔法の扉を開く呪文のようで、バイト代で手に入れたばかりのニコンの新型スコープ(もう骨董品並の代物だけど、まだ愛用中)を撫でながら、わくわくしていた。真木さんはその30数年間、沖縄で鳥を撮り続けてきた。若かったんだろう(人の事は言えない)いろんな無茶もしただろう。どれだけの労力と時間を費やしたことか。その一部を惜しげもなく見せてくれる、このツアーの凄さに、ぞくぞくしてくる。

 ジャングルのような森と、南国情緒あふれる集落を行ったり来たり。季節感が完全になくなったのを痛感したのは、トイレ休憩で寄った駐車場の植栽のツツジが満開の横で、カンナもまた満開なのを見た時だ。常に花が咲き、実が実り、虫も常に羽化していく。生き物が息をひそめてやり過ごすべき冬のない所。豊かな命をはぐくむ、一年中緑の森。こういう所だから、独特の、飛べない鳥も繁殖してこられたのだなあとつくづく思った。しかし、ヤンバルクイナはちらっと道端に現れたのを一部の人が見たにとどまった。途中の道々では、5パターンくらいのヤンバルクイナの標識がたっているというのに。やはり、野犬の被害は深刻なようだ。しかし、ヤンバルクイナの鳴き声は確かにあちこちで聞こえている。 

 【ナイトウォッチング・2夜目】

 一旦、宿に戻り、夕飯を食べ、風呂に入った。今夜のナイトウォッチングは気合を入れて、サーチライト2台を使ってのナイトサファリになった。なにがなんでも、ヤンバルクイナを見るぞ(見せるぞ)という真木さんの意気込みが伝わってくる。

 

 1号車助手席の伝達係も鳥を探すのに気をとられ、曲がり角で右折左折をトランシーバーで伝え忘れ、何度か2号車とはぐれてしまうことがあった。トランシーバーの受信範囲が案外狭いことを実感する。山あり谷ありの森の中では、携帯の電波でさえ圏外の所もあった。それでも、夜の森で、ルート地図もなく、迷子になる危険にもひるまず、走り回ること2時間余り。2回、木の上のヤンバルクイナを目撃できた。2度とも、思ったより垂直に近く立つ木の又の所にうずくまっていた。赤い嘴、白と黒の横縞の胸がライトに浮かび上がる。しかし、どの個体も、太い脚で蹴り立てるように、直ぐに木から飛び降りて藪に中に隠れてしまい、目撃できたのは1号車の一部の人に限られた。

 

 真木さんは「昔はこんなに用心深くなかったんだが」と何度もつぶやいていた。

 

 最後に道の真ん中に長くなっているハブを観察し、閉じかかる瞼と闘いながら、宿に戻った。